結婚も2度目だからこそ!


二人だけの甘い時間を過ごし、気がついたら朝になっていた。


眩い光を感じて、重い瞼をうっすらと開けると、先輩は少し笑みを浮かべながら私の顔を見つめていた。
筋肉質の綺麗な身体が瞳に映り、思わず目を逸らす。

寝起きで冷静な頭に戻った私には、とても刺激が強い。

「おはよう、京香。眠れた?」

「お……、おはようございます。えっと、はい少し」

「なに恥ずかしがってんの?」

「だ、だって……」

昨日は部屋の中、暗かったし。
幾度となく幸福の絶頂に達して、最後の方は全く記憶がないほど、曖昧。

本当に、昨日の自分はどうかしてた。
先輩に翻弄されて、今までの自分じゃなかった。

こんなこと、生まれてきて初めての経験。
圭悟のときですら、自分を見失うほど溺れたことなんてなかったのに。

「コーヒー淹れてくる。ついでに風呂も溜めてくるね。京香はそこにある服着て待ってて」

先輩は寝室にある机の椅子にかかっている服を指差し、ベッドから起きるとTシャツを着ながら部屋を出ていった。
先輩がいなくなってから、私もベッドから起き上がる。

椅子にかかっている服は、いつも先輩が着ているであろうTシャツとズボン。
ベッドの周りに乱雑に脱ぎ散らかされた自分の服から下着を探し、急いでそれを付けると先輩の服を着た。

ぶかぶかなTシャツは、裾が太ももの部分にまでかかる。
ズボンだって大きくて、ウエスト部分の紐を最大限まで引っ張らないと緩んで落ちてしまいそう。

先輩ってこんなに大きな身体だったんだって、その時に改めて分かり、妙にドキドキする。


この感覚は、初めて恋をした時によく似ている。

結婚までしていたのに。
男の人の服も下着も見慣れているし、触れているはずなのに。

どうしてこうも、学生の頃のような、淡い感覚になるんだろう。

< 61 / 127 >

この作品をシェア

pagetop