結婚も２度目だからこそ！
「京香？どうした？」

先輩が私の異変に気付いて、コンロの火を止めて私の前に立った。
そして、私の頬に手を寄せ涙を拭う。


私は知らない間に泣いていた。
自分でも気付かないうちに、涙を流していた。


「あ……」

「何か辛いことでも思い出した？」

先輩は優しく私を抱きしめる。
先輩の体温を感じて、締めつけられていた胸の苦しさが一気に和らいだ。

けれど、涙は一向に止まらない。
止めようと思っても、自然と溢れて来てしまう。


「ごめんなさ……、どうしても止まらなくて」

「いいんだ、泣きたいときに泣く。泣き止むまでずっと抱きしめているから」


その言葉に、もう我慢が出来なかった。

私は、声をあげて泣いた。





――だって気付いてしまったんだもの。


胸が苦しくなったのは、この腕を離したくはないから。

圭悟の時のように、また裏切られるのが怖いから。


でも、先輩は圭悟じゃないから。

浮気をするような人だとは思いたくないし、そんな人じゃないって信じてる。



だけど、心のどこかで恐れている自分がいるんだ。



積み重ねた幸せが一瞬で壊れるという、恐怖を。

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