結婚も2度目だからこそ!
ひとり部屋に残された私。
テレビから聞こえる賑やかな声だけが、響いている。


確かに最近の智樹は、昼休みも返上して仕事をしている事が多かった。
いつ昼ご飯を食べているんだろうって心配になるくらい、デスクに向かっているか会議に出ているか。

あれじゃあ疲れるのも仕方ないとは思うけど……。


でも、なんだろう。
それだけじゃないような気がする。

あの言葉の濁しよう、いつもはハッキリと答えるのに。



……何か隠し事でもあるんだろうか?


そう考えたら、ふと圭悟とあの女の事を思い出して、急に胸がざわつき始めた。



……まさか。


いや、ううん。そんなはずない。

智樹は絶対、そんな事するはずない。
だって智樹も智樹の両親も、絶対にないって言ってたもの。



でも、絶対なんてない事は、圭悟の時に思い知らされた訳で……。


大きな不安が私を襲った。

手が小刻みに震え、それを押さえるように両手を重ね、強く握った。
気持ちを落ち着かせようと、大きく深呼吸を何回もした。


……大丈夫よ、大丈夫。
智樹はそんなことしない。

だって、智樹は私のためにここまでしてくれてるんだもの。
私の気持ちを分かって、一緒にいてくれるんだもの。

裏切るような事、するわけないよ。


そう自分に言い聞かせた。


けれどその思いとは裏腹に、私の不安は消える事はなかった。

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