結婚も2度目だからこそ!


『……!!……!だから!』


近付くとどんどんと言葉が聞き取れるようになる。
どうやら休憩スペースではなく、その隣にある給湯室から聞こえるようだ。

給湯室にドアはない。
死角になった所から給湯室の中を覗いた。


『……だけど、忘れられないんだよ……!』

『……』

『お願いだから、また元に戻りたい……!』


そんな会話のやり取りをする人物を見て、私は思わず言葉を無くした。


私に背を向けていて顔を見る事は出来なかったが、スタイルのいい女性が男性の胸元に拳を叩きながら懇願している。


そしてそんな女性を厳しい表情で見下ろす男性。



その男性こそまさに。



「仕事中に何やってんのかし……って、あ……」


同じように覗いた河合さんがその二人を見て、言葉を詰まらせた。





そこにいた男性は、紛れもなく智樹だった。

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