十九時、駅前
走って行ったら、
やっぱりすでに片桐課長はきてて。
焦ってる私に涼しい顔で、
そんなことをいってきた。

「一体、どういうことですか!?」

「で、通帳と印鑑は持ってきたか?」
 
……話が噛み合ってない。

「……一応。いつも持ってるので」

「うん。なら、歩きながら話す。
あんまり時間、ないから」

「……はい」
 
片桐課長と並んで歩く。
いつもは長いコンパスの
片桐課長にあわせるのに必死なのに、
今日は私がすでに疲れているからか、
時間がないといいつつ少しゆっくりめ。

「正月に、引っ越せっていっただろ?
住むとこ見つけてきてやったから。
今日はいまから契約」

「えっ!?」
 
……いってる意味がさっぱりわからない。
この人は、日本語を話しているんデスヨネ?

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