十九時、駅前
「なにいってるんですか!?
私、そうするとかいってないし、
両親だって納得しないし!」

「キャンキャンうるさいなー。
あー、両親ね。
明日休みだし、俺が説得に行ってやる」

「一体なに考えてるんですか!?」

「なにって、そりゃ……俺の勝手だろ」
 
ぷぃっ、片桐課長の視線が私から逸れる。

……まただ。
いいたくないからって、いつも。

「……引っ越しなんてしませんよ」

「……課長命令」

「……片桐課長は、
私の直属の上司じゃないです」

「……高来(たかぎ)からも命令」 

「……どういう意味ですか?高来課長からって」

「……教えない」
 
不機嫌そうな片桐課長。むかつく。
けどきっと、
これ以上聞いても黙ってて教えてくれない。
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