十九時、駅前
気が付いたら椅子に座ってて、
目の前には契約書類。
そして隣からは片桐課長の無言の圧力。

……もう、なるようになれ!

半ばやけくそ気味に
いわれるがままに書類を埋めていく。
手続きが終わって気が付いた。

……よく考えたら。
どんなところに住むのか聞いてない。

「あの、片桐課長?」

「なんだ?」
 
晩ごはんのおうどんを食べながら、
片桐課長に聞いてみる。
今日はもう、
遅くなったから手早くうどん、だそうだ。

「私、どんなとこに住む予定なんですか?」

「は?さっき不動産屋が説明しただろ?」

「えっと。
一杯一杯で全然聞いてなかったです……」

「……はぁーっ。そんなんで大丈夫か?」
 
呆れ気味に笑っている片桐課長。

……でも、あなたのせいでもあるんですよ?
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