十九時、駅前
「まあいい。
両親に説明するときに、一緒に聞いとけ。
……明日、おまえんちの最寄り駅に十三時、な」

「えっと?」

「両親、説得してやるっていっただろ?
駅はわかるが、おまえんちは知らないし」

「あ、はい。わかりました」
 
残りのうどんを啜りながら、
片桐課長の顔をちらり。

……なんで、私が利用している駅、
知ってるんだろ?
話したことはない、はず。
二課の人間でも、知ってる人は高来課長くらい。
高来課長から聞いたのかな。
でも、なんで?
 

翌日の土曜日、約束の時間に駅に行くと、
片桐課長はもうすでに待っていた。

スーツなのは
会社の上司として会いに行くからなのでわかる。
けど、なんでこんなに緊張しているんだろう?

……右手と右足が一緒にでてますよ?

「おまえの両親って甘いもの、好きか?」

「え?はい。好きですけど……」
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