十九時、駅前
管理人さんは二十四時間常駐。

「私の住んでいるアパートからもバスで一停、
歩いて行ける距離ですし、
なにかあったときは
すぐに駆けつけることができますので」

「あら、それは安心ね」

「そうだな」
 
両親としては反対しないといいつつも、
若干不安はあったみたい。
片桐課長の言葉に安心したようだ。

「なら、花重さんのひとり暮らしに
許可をいただけますか?」

「はい、片桐さんにお任せいたします」
 
……はぁっ。
お父さんの言葉に
片桐課長が小さく安堵の息を
吐き出したように見えたのは、
気のせい、かな。


「引っ越しは来週の土曜日、な」

「えっ?」
 
駅まで片桐課長を送りながら。
いつものようにその口から出た言葉に焦った。
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