十九時、駅前
「は?どこに?」
 
一歩踏み出した片桐課長は、
怪訝そうな顔で私を振り返った。

「は?メシに決まってるだろ?」
 
なに当たり前のこと聞いてんの、
そんな顔で私のことをみてますが。
いやいや。
やっぱり意味がわからないですよ?

「……えっと。なんで、私と、食事、ですか?」

「……うるさい。黙ってついてこい」
 
ぷぃっと視線を逸らすと、
戸惑ってる私なんか無視して
片桐課長は歩き出す。

……うわっ。横暴。

そうは思ったけれど、
これ以上機嫌を損ねるのが怖くて、
慌ててそのあとを追った。
 

五分ほど歩いて連れてこられたところは、
カジュアルイタリアンの店だった。

……ほんとに食事、なんだ。


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