十九時、駅前
「花重ー。お茶飲む?」

「もらうー」
 
片桐課長を送って帰ってくると、
お母さんがお茶を入れてくれた。
ついでに、
片桐課長が手土産として持ってきたお菓子を

……って。

ここのお店。

並んでも買えない、マカロンが有名なお店。

「どうしたの?」

「ううん」
 
箱を開けようとして止まってしまった私に、
お母さんは不思議そうだ。
気を取り直して箱を開ける。
入ってたのは色とりどりのマカロン。

……なんで?
わざわざ、早朝から並んだってこと?
たかだか女子社員がひとり暮らしできるように、
両親説得するために?

やはり、片桐課長の行動は理解できない。
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