十九時、駅前
「……やっぱりやめた」

「……なんでですか」
 
悲しくなって俯いたら、
何故かあたまをぽんぽんされた。

「携帯、ついでにスマホに機種変しろ。
俺が選んでやる」

「でも……」

「使い方とか全部、教えてやるから。
わかったな?」

「……はい」
 
片桐課長の手が、
嬉しそうに私のあたまを撫でる。
子供扱い、された気がしてちょっとむっとした。
 

その後、予定通り家電店に連れて行ってくれた。

冷蔵庫とか洗濯機とか、
ひとり暮らし用のをみていたら、
何故か新婚さん向けのコーナーで
手招きしていた。

「どっちのメーカーがいい?」

「あの、
これって大きすぎる気がするんですが……」
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