十九時、駅前
よくある居酒屋での
説教ではないことにほっとしたものの、
同時に財布の中身が気になった。

……今月、ピンチなんですが。
割り勘、ですよね?
それでもお財布に厳しい……。

黙ってお店に入る片桐課長に続いて入る。
メニューを見て
出そうになったため息を飲み込んだ。

……一番安いパスタセットでも、
かなりの痛手だよ。

「なに難しい顔してるんだ。
……ああ。奢り、だから」

「……なんでですか?」

「……俺の勝手」
 
そういうと、またメニューに視線を戻す。
全くもって意味がわからない。
少しは説明して欲しい。

「決まったか?」

「えっ、あの、えっと」
 
慌てて片桐課長に向けていた視線を
メニューに戻す。
けど、緊張からか、
なにを頼んでいいのかわからない。
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