十九時、駅前
「ベッドは……そうだな。
引越祝いに俺が買ってやる。
どれがいい?」

「あ、あの!
家電一式買っていただきましたし、
ベッドは、もう」

「うるさい。もう決まったことだから」

「……はい」
 
……なんですか、これ?
私まるで、
片桐課長の愛人かなにかになったみたいですが。

ため息をつきつつ、
展示してあるベッドに腰を下ろしてる、
片桐課長を見下ろす。

「なにやってるんだ、
せめて座ってみないとわからないだろ」

「……そうですね」
 


いわれるがままに
いくつかのベッドに座ったり寝転んだりすると、
これがいいな、とやっぱり勝手に決めて
購入手続きを始めてしまった。
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