十九時、駅前
手続きしてる間におまえは雑貨をみとけ、
そういわれてひとり、お店の中をうろうろ。
生活雑貨も置いてあるお店だったから、
ひとり暮らしだったらこの辺かなー
とか思いつつ、お鍋なんかみてたら
持っていた手からぶんどられた。

「それじゃ小さいだろ。こっちのセットがいい」

「あの?」
 
片桐課長がカートに追加したのは、
やっぱりの新婚さん向けのセット。
さらに、食器もペアのセットを入れてきた。

「……ひとり暮らし、のはずですが」

「別にいいだろ」
 
……なんだろなー。
嫌な予感しかしないんだけど。
どうか私の予感が外れていますように。

「そういえば、私まだ、現地みてないんですが」

「そうだったな。帰りに連れて行ってやる。
というか、荷物置いとくべきだし」

「……はい」
私よりも片桐課長の方が嬉しそうで。
意味がわからない。
 

結局、家具店でほとんどのものが揃ったので、
ホームセンターには寄らないことになった。

途中のコンビニでコーヒーを買って、
片桐課長が車を停めたのは
その目と鼻の先だった。
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