十九時、駅前
「……そうなんですね」

「それにしても、幽霊かよ……!
おまえの想像力って凄いな」
 
笑いすぎて目尻にたまった涙を拭うと、
片桐課長は私のあたまを撫でてきて。

……また、子供扱い。

確かに、八つ年が離れていると、
そう見えるのかもしれないけど。
でも、
片桐課長にそうされることに何故か腹が立つ。
 

そのあと、買ってきたコーヒーを飲みながら、
スマホの初期設定をした。

……というか、片桐課長がしてくれた。

私はいわれるがままに何度か、
メールアドレスとかパスワードとか
入力しただけ。
電話帳の移動もしてくれた。

……そして。
その作業をしているあいだは、
会社で見かける真剣な顔。

熱いコーヒーを飲んでいるせいか、体が熱い。
何故か、心臓の鼓動が早い。
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