十九時、駅前
「どうかしたのか?」

「……なんでもないです」
 
ふと、
顔を上げた片桐課長は怪訝そうに首を傾げた。

「ならいいけど。
俺の番号も入れといた。
LINEも設定したし、
メールでもLINEでも好きな方を利用しろ」

「……はい」
 
渡された携帯の、アドレスを開いてみる。

”片桐樹馬(たつま)”

何故かその名前を見つけると、
倖せな気持ちになった。
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