十九時、駅前
空いた時間に有給申請出したら、
高来課長に同情するかのように笑われた。

「お互い、変な奴に気に入られると苦労するね」

「あの、えと。ははは……」
 
はい、そうですね、
とはいえずに笑って誤魔化す。
高来課長は申請書に判を押すと、
いつも通りの青い顔で胃薬を飲んでいた。

ちなみに高来課長は
高校で片桐課長の一年後輩だったそうで、
偶然同じ会社に入社してからというもの、
よくからかわれているそうだ。
 
机に戻って仕事を再開。
二課もだけど
三課もほとんどの男性社員は外回りにでてる。
当然、片桐課長も。
ボードには十九時戻り予定。

……今日はもう、会えないんだ。

何故か、
そんなことを考えてる自分に慌てて首を振る。
私には関係ないこと、だ。
 

帰りの電車の中、
携帯を確認してみたらLINEが入ってた。

“腹減った”
“俺が会社に戻る頃、もうおまえ、帰ってるな”
“疲れたー”
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