十九時、駅前
「もう俺が、適当に頼んでいいか?」

「あっ、はい。それでお願いします」
 
軽く手を上げて店員を呼ぶと、
片桐課長は注文を始めた。

「……以上で。
あと、飲み物はグラスワインの白と、
……笹岡は酒に弱かったな。じゃあ……」
 
てきぱきと注文する片桐課長をぼーっとみてた。
というか、
なんで私がお酒に弱いって知ってるんだろ?
飲み会なんて、
一、二回しか参加したことないのに。
 
運ばれてきたお酒に、一瞬躊躇した。

「軽めのカクテル頼んどいたから。
別に問題ないと思うが。
もし酔いつぶれても
襲ったりしないから心配するな」
 
おかしそうにくつくつ笑う片桐課長に、
顔が熱くなる。

……は、恥ずかしすぎる!

気を静めるようにグラスに口をつけた。

「……美味しい」

「なら、よかった」
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