十九時、駅前
そうはいっても、
引っ越し先は会社からさほど離れていない。
最寄り駅が会社より実家に一つ近いし、
なにかあれば気軽に取りに帰れる。
あまり、神経質にならなくても大丈夫。

ある程度荷物を詰めて、
もう寝ようと電気を消すと、
携帯がちかちか光っていることに気が付いた。
画面を見てみたら、
恐ろしいほどの量の、LINEと着信履歴。
慌てて折り返す。

『もしもし』
 
明らかに不機嫌な、片桐課長の声。
でも、私が悪いんだから文句はいえない。

「すみません!
会社からずっとマナーモードにしたままで、
気付きませんでした!」

『ふーん。ま、いっけど。
今日の晩飯はココイチのカレー』

「え?」

『おまえが聞いてきたんだろ』

「……そうですけど」
 
……それをわざわざ、電話?。
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