十九時、駅前
部屋の中を見渡して、
嫌な予感は嫌な確信へと変わっていく。

……あの人は。
一緒に住む気、ですか?

携帯片手に、片桐課長にLINEを送る。
放心状態でガス業者と手続きし、
気持ちを落ち着けようと
コンビニで買ってきたコーヒーを啜ってたら、
携帯がLINEの着信を告げた。

“は?なにいってんの?帰りに寄る”
 
……この「なにいってんの?」は
一緒に住むわけないだろ?に続くんですよね?
なにわかりきったこと聞いてるの?
じゃないですよね?

なんて返していいのかわからずに、
そのまま携帯を握りしめて床に座ってた。

「笹岡?いるんだろ?」
 
突然明るくなった室内に顔を上げると、
片桐課長が苦笑いで立っていた。
「なにやってるんだ、おまえ」

「だって、片桐課長、」

「ああ。俺、ここに一緒に住むから」

「……いってる意味がわかりません」

「なんのために俺が、
家電とか買ったと思ってたわけ?」

「それは……」
 
……ええ。
途中からいやーな予感しかしてなかったですが。
はっきりいわれるとショックが大きすぎます。
 
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