十九時、駅前
第5章
そして、私たちの奇妙な同居生活が始まった。

片桐課長はうちに帰ってきて、……そう。
私の部屋に「帰って」くるのだ。

一緒にごはん食べて、一緒のベッドで眠って。
時々やっぱり、そういうことして。

そして謎なのが、朝ごはんを食べると、
片桐課長は出社前に一度、
自分のアパートに帰ること。

金魚を飼ってるから、
餌をやりに行くのだといっていたが、
意味がわからない。

一緒に住むというから、
自分のアパート引き払って
こっちに越してくるのかと思えば、
部屋はそのままにしてある。

ほんと、意味がわからない。
 

その金曜日。
職場でパソコンに向かっていたら、
視界の隅にスーツの袖。
顔を上げると片桐課長の後ろ姿。
机の上には折りたたまれたメモ。

……携帯、
知ってるんだからあっちに連絡すればいいのに。

そう思いつつ、メモを机の下で広げる。
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