十九時、駅前
「おかえりなさーい」
 
当然のように、片岡課長が帰ってくる。

「これ、お土産。
今日最後にいった営業先近くのケーキ屋、
バームクーヘンが旨いんだ」

「あ、ありがとうございます。
もうすぐ準備、できますので」

「そうか」
 
嬉しそうに笑うと、
片桐課長は私のあたまを撫でた。

……また子供扱い。
でも、何故か嬉しい。

「じゃあ、いただきます」

「いただきます」
 
片桐課長はいつも、
ちゃんと手を合わせてごはんを食べる。
なんか、そういう姿勢が好きだな、とか思う。

いつものように、
一口目を口に運ぶのを
ドキドキしながら見つめる。

「うん。旨い」
 
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