十九時、駅前
「なに?
俺のこと、もっと知りたくなったとか?」

「いいえ。これっぽっちも。
全然そんなこと、思ってませんから!」

「ええーっ」
 
ちょっと拗ねてしまった片桐課長を
ちらりと見ながら、コーヒーを啜る。

……ごはんのとき、手を合わせていたこととか。
煙草のこととか。
この人はどれだけ仕事に真剣なんだろう、
って思う。
そういうところはちょっと尊敬できるな。

「あ、それから、なんでメモ載せるんですか?
もう携帯知ってるんだから、
そっちでいいですよね?」
 
……うん。
いまのとこ、
誰にも気付かれてないからいいけど。
誰かに気付かれたら、大変なわけで。
できればやめて欲しい。

「それはな。
おまえが家に帰るまで、
携帯を確認しないからだ!
LINEとか入れといても、
絶対気付かないだろ!」
 
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