十九時、駅前
机の上には折りたたまれたメモ。

『笹岡へ
 暫くそっちに帰らない
         片桐』
 
何故か涙が込み上げてきて、慌てて席を立つ。
トイレに駆け込んで、
握り込んでたメモをそっと広げた。

『笹岡へ
 暫くそっちに帰らない
         片桐』
 
何度読んでも、文面は変わらない。

さっきの言葉。
そしてこのメモ。

……私は。
片桐課長の一体なんなんだろう?

涙がぽろぽろと零れ落ちる。

ああそうか。
私は片桐課長のこと、
こんなに好きになってたんだ。
 

夜、震える手で片桐課長にLINEを送った。

”今日はありがとうございました。
助かりました”
 
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