十九時、駅前
調理しながらため息が漏れる。
ため息つくと倖せが逃げるっていわれたけど、
確かに最近、
ため息ばっかりついてる私からは
逃げてる気がする。

「ただいまー」

「……おかえりな、さい」
 
帰ってきた片桐課長は顔を曇らせると、
私につかつかと寄ってきた。

「どうした?」

「なんでもない、です」

「嘘つけ。泣きそうな顔、してる」

「……そんなこと、ないです」

「俺がいなくて淋しかったのか?」

「……変なこと、いわないでください」
 
……淋しかった。
一週間、ずっと淋しかった。
一人で眠る広いベッドは寒くて、
凍えそうだった。

「悪い。
この間、あんな騒ぎになっただろ?だから」

「……はい」
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