十九時、駅前
「ごちそう、さまでした」

「ああ」
 
……結局。
何故、今日、
片桐課長が私をこんな形で食事に誘ったのか、
ちっともわからなかったけど。
でも、
楽しくなかったのかって聞かれると嘘になるし。

「これ。タクシーで帰れ」
 
手を取られて乗せられた一万円札。

……でも。

「ダメですよ!
うちまで一体、
いくらかかると思ってるんですか!?」

「これじゃ足りないか?なら」
 
さらにお財布からお札を抜こうとしている
片桐課長を慌ててとめる。

「そういう問題じゃなくて!
まだ余裕で電車ありますし、全然」

「……なら。駅からタクシーで帰れ。
わかったな?」

「でも……」
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