十九時、駅前
第8章
次の日は片桐課長、ちゃんと出社してた。

普段通り仕事をしてるように見えて
……何故かちらちらとこちらを窺ってる。
そのくせ、視線が合うとさっと逸らす。

もう、なにがしたいのかわかりません。


お昼ごはん食べて戻ってきたら、
ボードの片桐課長のところには専務室の文字。
そして社内にはどこもかしこも
片桐課長の噂で持ちきり。

……専務のお嬢さんと
お見合いのことで呼ばれた、とか。

……胸が苦しい。
片桐課長がお見合い、とか。
しかも専務のお嬢さんなら、
次期社長候補も視野に入ってる、ってことだ。
こんないい話、断るはずがない。
だけど、あんなことをいっておいて、私は。
 

気が付いたら、
キーボードの上で手が止まってた。
高来課長の心配そうな視線。
昨日、あんな話をしたから、
責任を感じてるのかもしれない。
でも、きっと全部、高来課長の勘違いですよ。

暫くすると片桐課長が戻ってきた。
喜んでるのかと思ったら、機嫌が悪い?
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