十九時、駅前
途切れそうになる意識をどうにか保ち、
パソコンに集中する。
視界の隅にスーツの袖。
顔を上げると片桐課長の後ろ姿。
机の上には折りたたまれたメモ。
そっと、机の下で広げる。

『笹岡へ
 十七時、第一小会議室
         片桐』
 
……どういう呼び出し、なんだろ?
あれかな、付き合ってたわけじゃないけど、
別れ話。
もううちにはこない、
って合い鍵突っ返されるのかな。
いつもいつも勝手だよ、片桐課長は。
 

十七時、指定された小会議室の前に立つ。
プレートは使用中に返されている。
もう、きっときている。
 
コンコン。

「はい」

「笹岡、です」

「入れ」
 
中に入ると片桐課長ひとりで何故か緊張した。

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