十九時、駅前
「俺が、専務のお嬢さんとの見合い、
打診されたことは知ってるな?」

「……はい」
 
……やっぱり、思ってた通りの話なんだ。

「結婚を前提に付き合ってる奴がいるからと
断ったら、そいつを連れてこいっていわれた。
その、
このあいだあんなことをいわれたばかりなのに、
こんなことをおまえにいうのも
どうかしてる気がするが、
……一緒に、きて欲しい」
 
……その言葉に。
私の中のなにかが、ぷちんと切れた。

「なに勝手なこといってるんですか!
まだ、結婚したくないからって、
適当な理由で、私のこと利用しなくたって!」

「適当な理由……?
おまえを利用……?
一体、なにをいってるんだ?」
 
怪訝そうな片桐課長の顔に、
どんどんヒートアップしていく。

「だって!
私と片桐課長、
付き合ってもないじゃないですか!」

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