十九時、駅前
「そりゃ、……写真撮らせてとか、
恥ずかしくていえないだろ」
 
樹馬さんの顔が赤くなる。
ほんと、照れ屋さんなんだから。

「そういえば、
何人も付き合ってる噂が流れてましたけど?」

「ああ、あれ?
告ってきた方がプライド高くて、
振られたとかいえなかっただけだろ」

「樹馬さんも否定してなかったようですが?」

「……面倒くさい。それに」

「それに?」
 
じっと見つめられて、キスされた。
唇が離れると、にっこりと笑う。

「俺があいつらのうちの誰かと
付き合ってることになっときゃ、
おまえに目が向かないだろ?
うちの会社、社内恋愛禁止じゃない割に、
社内で付き合い出すと
女の方のいじめが凄いみたいだし。
それで辞めてった子、
何人か知ってるから
あえて否定しなかったのもある」

「……そうですか」
 
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