ウサギの王子に見初められ。


ふと気づいたらベッドで寝てた。まだ暗い。水の音が聞こえる。

え、なに? ここ、まだ三上くんの部屋なんだけど!なんで私帰ってないの。

思い出す。そうだ、手をつかまれて帰りにくくなって、眠っちゃったんだよね。



起き上がって念のため確認するけど、べつに服はそのままだ。当たり前だ、そういうんじゃないし。

ていうか、三上くん起きたら今度は私が寝てたってこと?恥ずかしい!!

状況を把握して後悔しまくっているところに、三上くんが戻ってきた。シャワー浴びてたんだよね、その音だ。



「真奈ちゃん、起きた?」

「ごめんね、ごめんね、帰ろうと思ったんだけどうっかり寝ちゃって。今何時だろう」

洗面所から漏れる明かりだけの部屋で、まだ時計もかけてないし、わからない。夜中っぽいよね。

スマホを確認した三上くんは、「11時半」と言う。



「ごめん、オレが先に寝ちゃったんだよね?うちに連絡したほうがいい?遅いからかえってしないほうがいいか。送ってくよ」

「あ、ごはんはたべてくって言ったから、大丈夫。一応メッセージだけいれとこうかな、寝てるかもしれないし」

言うと、電気を柔らかくつけてくれた。調光機能つきのを設置してる。インテリアもちょっとこだわるタイプかな。




駅に出て電車で一駅帰るのも歩いて帰るのも、時間的にあまり変わらなそうなので、夜の散歩だということになった。

夜はちょっと寒い。気づいて三上くんがパーカーを貸してくれた。

遅い住宅街を、小声で話しながら帰る。

「帰り、大丈夫?」

「住所わかってるから平気」

「ごめんね、疲れてるのに。声かけて帰ろうとおもったのに寝ちゃって」

「手伝ってもらっといて、寝ちゃって真奈ちゃん1人で帰してたりしたら、オレ起きてから落ち込むよ」

「そう?」

「そりゃそうだよ」
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