ウサギの王子に見初められ。

バッグの中で、携帯が短く鳴った。お母さんから返信かなとチェックしたら、沙耶だった。

【誕生日おめでとう。いつも元気な真奈がもっと元気になれる素敵な恋をできますように】

あ、12時越えたんだ。そうか、24才。



「沙耶だった。ちょっと返信していい?」

「いいよ」

【ありがとう!沙耶にも運命の出会いがありますように!】と返す。



「誕生日おめでとうって?」

「そうなの。沙耶は先月だったんだよね。私は会社でおめでとうって言ったんだったけど。休みの日だからかな、嬉しい」

「そっか。一緒にいるのに一番乗り逃したなぁ、残念」

「三上くん電話で言ってくれたじゃん、あれが一番じゃないの?」

「フライングは失格でしょ」

そうなのかな。細かいルールだね。




話してるうちにもうついた。

「近かったね。思った以上に」

「19分20秒」

スマホをチェックした三上くんが言う。ほら、とストップウォッチを見せられる。測ってたの? 「予測で出たよりかかった」とも呟いてる。


「男の子だよね、そういうの」

「え? なにが」

スマホでいちいち測ったりとかツールを使ってみたりとか。女子力高いかと思うのに、変なところは男子だ。

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