ウサギの王子に見初められ。
三上くんおかえりなさい飲み会はかなりの出席率で、久しぶりの大宴会になっていた。元来飲み好きな開発部のメンバーと久々に会う同期に囲まれて、三上くんは終始にこにこと楽しそう。
私は一緒に帰れば話せるからいいか、と少し遠くで幹事役をこなしていた。
そろそろ一次会締めて、ここで飲み続けたい人たちは規模縮小して集まって、なんて話を進めていたら「主役、寝てるな」と声が聞こえた。
ほんとだ、三上くんが座敷にごろりと寝てしまっている。どうしたんだろう、飲みすぎたかな。
「途中から結構酔ってるっぽかったよ。沢田さんたちに囲まれてた」
「寝かしとく? 起こして帰したほうがいいかな」
「今日は泣いてもないし、起こしてみるか」
同期の男の子達に起こされても、三上くんはまだぼんやりしてる。路線が同じメンバーで連れて帰ろうということになり、数人でお店を後にした。
「大丈夫かな、三上。ぼーっとしてるから、大変だったらウサギの遠藤とか呼び出しなよ」
そう言って最後の一人が乗り換えで降りていき、私と三上くんだけであと数駅。眠ってはいないけれど、酔ってるのかぼんやりしてる感じがする。
三上くんの駅で一緒に下りて、家まで送っていくことにした。4階まで一人で上がれるのか不安だし、合鍵持ってるから寝かせてから帰れる。
勝手に使うことになるけど、三上くんのためだからいいよね。
「大丈夫? 酔っぱらってる?」
「平気。なんかちょっと眠い」
と一応会話は成り立つんだけど、ふらふらしてる。記憶とかなくなっちゃう人だったっけと考えるけれど、酔ってる時のお世話とかもした覚えがないな。
こないだ寝ちゃったときはすぐに起きてたけど、あれは引越しで疲れてただけだったよね。