ゼンマイ仕掛けの少年、ソーラーパネルの少女
ゼンマイ仕掛けの少年
<サイドB>

僕は、旧式のゼンマイ仕掛けだ。
誰かが、そばにいてくれないと動けない。
一度巻けば、一日は持つ、はず。
はず、というのは、僕には分からないからだ。
ゼンマイが止まってる間は、全てが止まり、動き出せば、全てが最初からになる。

旧式だからね。
錆びたら終わり。
だから、いつも傘を差してる。

それをバカにしてくる女がいる。
茶色の長い髪。大きなリボンを左右に結ってる。
僕のことを知ってるみたいで、でも僕は怒ってる顔しか知らない。
自分がソーラーパネルの最新式だから、見下してるのだろう。

別に気にならない。
ゼンマイが止まれば、全て忘れる。

ここで、ため息。
「ふぅ…」
今日は日差しが強くて、日傘だけど火傷しそうだ。

こんな僕。
細身の黒髪。色白。
学校指定の学ランは暑い。
ゼンマイ仕掛けの男の子。
名前は「一流(いちる)」。17歳。
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