1ヶ月の(仮)夫婦
(仮)夫婦
『僕達が円満な夫婦生活ができるようにルールを決めましょう』
……あぁ もうこんな時間、彼を起こしにいかねば。
彼の寝室のドアをそっと開ける 彼……夫は起きていた。
「おはようございます 壱麻さん」
「あぁ、おはようございます」
パリっとしたスーツを着て骨ばった指でネクタイを締めながら 私を見ずに、今日も爽やかな挨拶をする夫。
「起きてたんですね」
「ええ、目が覚めてしまって」
乱れた布団を直しながら ちらりと夫を見る。骨ばった指……がネクタイを……
「朝ごはん 食べますか」
「はい」
『これは 僕達が "1ヶ月間夫婦をする"にあたって重要なことです』
「今日は…和食なんです」
「そうですか」
細く長い指がネクタイを……
『一、朝と夜は夫婦で一緒に御飯を食べること……夫婦生活においてはまずこれは大事だと思います』
あぁ、やっぱり
背伸びをして 手を伸ばす
骨ばった夫の指に自分の指先が触れる。
「……失礼します」
しゅる……とネクタイを結ぶ。
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