1ヶ月の(仮)夫婦
(仮)夫婦

『僕達が円満な夫婦生活ができるようにルールを決めましょう』

……あぁ もうこんな時間、彼を起こしにいかねば。
彼の寝室のドアをそっと開ける 彼……夫は起きていた。

「おはようございます 壱麻さん」

「あぁ、おはようございます」

パリっとしたスーツを着て骨ばった指でネクタイを締めながら 私を見ずに、今日も爽やかな挨拶をする夫。

「起きてたんですね」

「ええ、目が覚めてしまって」

乱れた布団を直しながら ちらりと夫を見る。骨ばった指……がネクタイを……

「朝ごはん 食べますか」

「はい」

『これは 僕達が "1ヶ月間夫婦をする"にあたって重要なことです』

「今日は…和食なんです」

「そうですか」

細く長い指がネクタイを……

『一、朝と夜は夫婦で一緒に御飯を食べること……夫婦生活においてはまずこれは大事だと思います』

あぁ、やっぱり
背伸びをして 手を伸ばす
骨ばった夫の指に自分の指先が触れる。

「……失礼します」

しゅる……とネクタイを結ぶ。




< 1 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop