1ヶ月の(仮)夫婦
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『借金ですって』
『もう何年も前からあったらしい』
『汚職とかで何とか凌いでたそうよ』
『いやだわねぇ』
『前から可笑しいと思っていたんだ、あの家』
『ほんとに呪われているんじゃないか"月女"は、裏で酷い手を使って他社を潰していたと聞くしな……』
『呪われているんだよ"月女"は』
『娘を残して逝くなんて……』
『誰が引き取るんだよ』
『嫌よ、こんな呪われた子なんかっ』
『おい、その辺にしろ…聞こえるぞ』
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結局、私を引き取ってくれたのは数少ない親戚の中で二人の夫婦だけだった。
私を引き取ってくれた夫婦は優しく迎え入れてくれた。素直に嬉しかった。
学校は退学になった、今まで仲良くしていた友人は もう私をいない存在としていた。 夫婦が経営しているレストランで働かせて貰った。初めは全然慣れなくて、失敗ばかりでも夫婦は優しかった。
そうしている内に2年がたった
そして私が18歳になったばかりの時に それはまたも、唐突に起きてしまった。
夫婦は経営者と名乗る人物に騙されて夫婦が経営していたレストランは、とある企業に買い取られてしまったのだ。
無一文になってしまった夫婦の行き場のない怒りの矛先は当然 私に向けられた。今まで優しかった夫婦は人が変わったように 私を罵倒しはじめたのだ。
『この 疫病神がっ!』
『恩を仇で返しやがって、この悪魔がっ』
『やっぱりあなたなんて引き取らなきゃよかった………全部あなたのせいよ!』
『お前がっ"月女"のせいだ!』
『呪われた"月女"せいだ!』
『呪われた子は出ていけ!』
『今すぐ出ていけ!』
そして、私の帰る場所がまた突然なくなってしまった。
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