1ヶ月の(仮)夫婦
「……それより僕に言うことがあるんじゃないですか?」
あ、そうだ
私はこの人に助けてもらったのだ。
「ぁ…助けてくれてありがとうございました」
ベットから身体をおこして頭をさげる
結構真剣に謝った。
「よろしい」
と言った彼 そして、
「あぁ自己紹介がまだだった……
僕は鬼塚 壱麻と申します。」
「ぁ…私は………」
「知っています
月女 杏子さんですよね」
「っ…!」
自分の名前を正直に言おうかどうか迷っている私に 彼は平然と言った。
私の、私の名前を、あの忌まわしい"月女"の名を。
「な、んで名前を……」
「一応、調べさして貰いました」
そう言って彼がポケットから出したのは 私の学生証。
その学校にはもう行けなくなってしまったのに私はまだ 捨てきれずにそれを持っていたのだ。
「驚きました」
彼はほんとうに驚いた様子だった。
キレイな顔がそう表している。
「すいません」
思わず謝る。
そりゃそうだ、驚くに決まっている
偶然助けた人がまさかあの"月女"の人間だなんて……きっと後悔しているはずだ。
"助けなきゃ良かった"と
「すいません、すぐに出ていきます、迷惑かけて申し訳ありませんでした」
「……は?」
「……え、」
彼の顔がきょとんとし、つられて私もきょとんとしてしまう。
あれ、私の予想している反応じゃない……?
「いや、僕は、あなたがまさか 未成年だったなんて思ってなくて……まだ18だったのか」
ほんとうに驚いた。
そう呟いて、あぁ、僕ってこれじゃ犯罪ですね と少し笑って言った。
私はというと
予想外の反応に、とても驚いていた。