1ヶ月の(仮)夫婦
「あの……私は、"月女"の人間なんですよ」
「知っていますよ、"月女家" のこと」
「……っ」
彼からその言葉がでてきた瞬間
身体が ガタガタと震えだした、彼の顔が怖くて見れない。
……この人も そうなのだろうか……私を……彼はあの人達と同じように、私を……。
そう得体の知れない恐怖に頭が真っ白になった時だった。震えながら布団をぎゅっと握り締める私の手に 彼の大きな手が包み込んだ。 びくりとする私を 落ち着かせるように、優しく、まるで壊れ物を扱うかのように。
「ぁ…」
「……大丈夫ですか……すいません、不謹慎でしたね」
すいませんほんと、と謝る彼の顔は本当に申し訳なさそうだった。
「ぃ、いや、全然大丈夫です」
「……」
「あの、本当に助けていただいてありがとうございました……私、もう帰ります」
「……何処に?」
お礼を言って、すぐに帰ろうとベットから出ようとした時だった。
"何処に?"彼の声は今までとちがって低く、少し 苛立った声だった。
「…ぇ」
「だから、何処に帰るんですか」
鋭い視線から目をそらせない
まるで叱られた子供のように黙りこんでしまった。