1ヶ月の(仮)夫婦
「……、」
「言ったでしょう、少し調べさして貰いました と」
「っ……」
「あなたに帰る場所はない……追い出されたんでしょう?」
「ぁ…」
頭が真っ白になる。
"追い出されたんでしょう?"その言葉がただ耳に残る。
そうだ、彼のの言うとおり 私には帰る場所なんてない 何処にも。今になって実感した。
「うっ、っ……」
実感したとたんに涙がにじんで視界がぼやける、嗚咽が漏れそうになるのを必死に噛み殺した。
何やっているんだ、私は……人前で泣くなんて。それも初対面の男の前で。
でも涙が止まらない、止めようとすればするほど涙がにじんでく、まるで今まで我慢してしまいこんだ感情があふれでてくるように。
「ふ、うっ、っ……」
彼はなにも言わない、ただ黙って泣きじゃくる私を見ている。止まらない涙が視界をふさぎ、今 彼がどんな顔をしているかわからなかった。
どれくらいそうしていたのだろうか、ようやくおさまってきた涙を手で拭う。
やっと視界がクリアになり、彼を見る…
目の前の彼は 酷く青ざめて焦っているようだった、てっきり呆れていると思っていたが、彼の表情は 焦って、途方にくれているようだった。
「……あの」
「……!」
恐る恐る声をかける 彼は、はっとして私を見た。
「……あの、すいません、急に、泣き出したりして……」
とりあえず謝る。すると彼は ますます焦った表情になった。慌てたように首左右にふって
「ち、違うんです!あなたはなにも悪くない」
声も焦りに満ちた声だった。
最初の落ち着いた雰囲気とはまったく違って驚く、彼はどうしたらいいか分からないようだった。
「違うんです、悪いのは……」
言いかけたところでドアから急に人が入ってきた。背の高い…男の人、その人はちらりと私を一瞥すると にこりと笑って言った。
「あーあ、女の子泣かしちゃ駄目だろう、壱麻」