イジメ返し2 ~恐怖の復讐劇~

「なんかあたし、気分悪くなってきちゃった。もう教室戻らない?」

真っ青な顔をしたみやび。

「ハァ~?こんなのたいしたことないじゃん」

「そうだよ。でも、確かに自分の体にゴキブリついたら嫌じゃない?」

「そりゃ嫌でしょ!」

綾香は手に持っていたホウキとチリトリをあたしの足元に放り投げた。

「これ、全部片付けてから来てよね。それと、さっきのは友達同士のただの遊びだから。先生にチクってもムダだからね」

吐き捨てるように言うと、あたしを残して体育館倉庫から出て行く3人。

けれど、本当の恐怖はここからだった。

倉庫内に突如ガシャンっという金属音が響いた。

「え……?」

恐る恐る倉庫の扉に近付いていって愕然とした。

鍵がかかっているのかびくともしない。

そんな……。まさか……。

閉じ込められたの!?

「誰か……――!!お願い、誰か来て!!!」

ドンドンっと扉を叩いて叫んでも誰にもあたしの声は届かない。

しかも外は土砂降りの雨。

あたしの叫び声はかきけされてしまう。

ふいに視線を落とすと、嫌でも目に飛び込んでくるゴキブリの死骸。

足がもげ触覚がとれたゴキブリに吐き気が込み上げる。

誰か。誰かあたしを助けて……!!


「もう無理だよ……。もう……死んでしまいたい……」

お母さんと美亜のところへいきたい。

初めてそう思った。

倉庫の扉に背中を預け、あたしは膝を抱え込んで涙を流した。
< 135 / 259 >

この作品をシェア

pagetop