イジメ返し2 ~恐怖の復讐劇~
「ち、違うわ!私は不倫なんてしていない!!変な言いがかりつけるのやめてくれる!?」
「えぇ~?違うのぉ~?まぁ、いっか。カンナお腹空いたからもう帰る。先生、じゃあね~!」
西園寺さんはそう言うと、クルリと私に背中を向けて歩き出す。
「な、なんなのよ、あの子!!」
唇がワナワナと怒りに震える。
親が権力者だからと教師を舐め腐った態度をとるなんて許せない。
あの子がうちのクラスにいれば、とさっきとは逆の考えに至る。
沢木さん達3人が西園寺カンナを攻撃するのは目に見えていた。
あの3人が誰かをイジメるのは、家庭での自分の満たされない欲求を発散しているに過ぎない。
家柄もよく自由奔放な西園寺さんのことを、妬み僻まないはずがない。
3人は昔の私によく似ていた。
家庭環境のよくなかった私は小中高とターゲットを変えながらイジメを繰り返してきた。
イジメていたのは、柴村さんや逢沢さんのような子だった。
あの当時、大人しく自己主張をしないどこか陰鬱とした雰囲気の柴村さんタイプをイジメてもどこか面白みに欠けた。
だから、私のターゲットはいつも逢沢さんのような子だった。
正義感を振りかざし、偽善者ヅラしていい子ぶる子。
中学時代、さんざんイジメ抜いたのにそれをもろともしなかった同級生が一人いた。
泣くことも辛そうな顔をすることもなかった。
『あなたって可哀想な人』
『人のことイジメるのってそんなに楽しい?こんなことばっかりして情けない。いつか自分に戻ってくるから』
その子の言葉は火に油を注いだ。
結局、卒業するまでやけになってイジメぬいたものの一度だって私にひれ伏さなかった。
だから、3人が逢沢さんをイジメていると心の中にスーッと涼しい風が吹く。
もっとやれ。もっとやってしまえ。
私があの子を泣かせられなかった分、もっと逢沢さんを痛めつけてしまえ。