イジメ返し２ ～恐怖の復讐劇～
近付くにつれて焦げたような匂いと、野次馬が多くなった。

消防車やパトカーや救急車の赤色灯であたりは騒然としていた。

黄色い規制線の向こう側には２階建てのアパートが建っていたとは想像がつかないくらいの惨状が広がっていた。

真っ黒に焼け焦げた柱が数本しか残っておらず、いまだに火種がくすぶっているのかがれきの中から灰色の煙がゆらゆらと空に昇っていく。

嘘よ。こんなの嘘。

「ふっ……ふふ……」

人間はあまりのショックを受けると自分の意思とは関係のない反応をしてしまうらしい。

「お金が、あたしの……お金……」


あんなボロアパートに泥棒など入るはずがないと預金を銀行に預けずにタンス貯金していたのが仇になった。

貯金額は800万を超えていた。

コツコツ貯めていた私の今までの頑張りは全て水の泡になった。

わずかに紙幣の切れ端があれば銀行で新札と交換してもらえるはずだ。

でもこの状況を見る限り、絶望的だ。すべてが燃えて消えてしまった。


「うっわぁ～！すっごーい!!火事って怖いねぇ～！」

隣でキャッキャとはしゃぐ声。思わず声のする方へ顔を向けた。

「あっ、若菜センセー！センセーも野次馬ですかぁ～？これだけの火事だったのにけが人がでなくてよかってですねぇ～！」

嬉しそうな西園寺カンナ。その隣では逢沢さんが困惑の表情を浮かべてアパートを見つめていた。
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