イジメ返し2 ~恐怖の復讐劇~
バレたバレたバレたバレた。
動揺しすぎて足がもつれる。
頭の中にカンナの笑い声と逢沢の驚いた顔が蘇り、そのたびに心臓が不快な音を立てる。
今までずっと誰にもバレずにきたのに。
これから先もずっとずっと気付かれずに生活するはずだったのに!!
あの二人は今頃トイレにいる柴村を見つけているかもしれない。
そうなったらマズい。
教師にチクられ、親にまで話がいってしまうかもしれない。
そうなったら、今までの努力が水の泡になってしまう。
ダメだ。そんなこと絶対にさせない。
「――ただいま!」
家の前で乱れた呼吸を必死に整えてから古びた一軒家に入る。
玄関先で靴を脱ぎ、脱いだ靴の向きを変えて端に寄せておいた。
「みやび、お帰りなさい」
「お、お母さん……ただいま」
「どうして電話に出ないの?」
「ご、ごめん!気付かなくて……」
母の目は怒りに燃えていた。
今日もキツイお叱りを受けるに違いない。
すると、奥の部屋からくぐもった声がした。
「ちょっと、美香さん!早く来て!!」
「……今行きます」
母は返事を返すと、能面のような表情を浮かべた。
「ババアが呼んでるわよ。あとはお願いね」
「……うん」
あたしはただ黙ってうなづくことしかできなかった。
事の発端を作ってしまったのはほかの誰でもない。
あたし自身なのだ。