イジメ返し2 ~恐怖の復讐劇~
父と母が結婚してすぐ、祖父が亡くなった。

祖母は住み慣れた家での一人暮らしを望み、両親も祖母の望みをくんだ。

あたしが幼い頃はまだ両親ともに仲が良く、祖母と母の関係も良好だった。

温厚で笑顔が可愛く、料理の得意だった母。

母に作ってもらう手作りのクッキーがあたしの大好物だった。

『みやびは本当にいい子ね。お母さんの子供になってくれてありがとう。みやび、大好きよ』

そう言って頭を撫でてくれた母の柔らかい手のひらを今もはっきり覚えている。

毎晩、どんなに疲れていても必ず絵本を読んで寝かしつけをしてくれたし、どんな時だって笑顔であたしを包み込んでくれた。


変化が起こったのはあたしが幼稚園の年長の時。

祖母と一緒に横断歩道を渡っているとき、右折してきた車にはねられそうになったところを祖母に助けられた。

あたしの身代わりになるように祖母は両足を骨折し、入院生活になってしまった。

病院生活が長くなるにつれ、祖母の筋力は低下し、退院してからも車いす生活を余儀なくされた。

そのせいで一人暮らしは現実的ではなくなり、両親は祖母との同居の道を選んだ。

おかしくなったのはそれからだった。

同居することで嫁姑関係は悪化し、それに伴って父と母のいさかいも絶えなくなる。

そんな日々が続いていくうちに、とうとう祖母は一人では歩行することもできなくなり、介護生活がスタートした。

『どうして私におばあちゃんの介護を押しつけるの!?あなたの親でしょう!?あなた、一度だってオムツを替えたことがあるの!?』

毎晩、祖母が寝静まった後に父と母のケンカは始まる。

両親の罵詈雑言に隣の部屋で耳を塞いで寝たふりをする毎日。

両親と祖母の間で板挟みにされ、神経がすり減った行くのを感じた。

母につねられるようになったのは、小学校に入学してからすぐのことだった。

テストの点数が悪い、食事中にテーブルに肘をついた、ただいまの声が小さい。

母は何かと理由をつけ、そのお仕置きと称して体のあちこちをつねった。

『誰にも言っちゃだめよ?みやびが悪いことをしたから、お母さんだって仕方なくこうやって罰を与えているんだから』

母はお仕置きを加えた後、必ずあたしを抱きしめていった。

『お母さんはね、みやびのことを愛してるの』

悪いのは全部あたしだ。

おばあちゃんが足を骨折したのもあたしのせい。

キッカケをつくってしまったのはあたし。

だから、どんなことだって耐えなくてはならない。

あたしが耐え続けていればきっと、お母さんは昔のお母さんに戻る。

心からの笑顔を浮かべて『みやび大好き』と言ってくれるはずだ。
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