イジメ返し2 ~恐怖の復讐劇~
マミは化粧ポーチの中から気に入ったものだけを手に取り、ポケットの中に押し込む。
「えぇ……そんなにとっちゃうのぉ?カンナ、気に入ってたのにぃ……」
カンナが唇を尖らせて非難するのを横目に、マミは化粧ポーチを右手に掴みトイレの窓を全開にした。
「あっ……」
カンナが言葉を発する前に、化粧ポーチを窓の外に投げ捨てるマミ。
「あぁ~!あの中にパパからのプレゼントも入ってたのにぃ。パパに怒られちゃう!」
「ごっめーん!ちょっとした遊びのつもりだったのに、手が滑っちゃってさぁ~」
「遊び?物を上から投げ捨てる遊びがあるのぉ~?」
カンナは本気にしたのか顔をしかめて首を傾げる。
「そうそう!今はやりの遊び!でもこの高さだし、化粧品全部粉々になっちゃったかもね?でも、アンタって西園寺グループの一人娘だしこれぐらい痛くもかゆくもないよね~?」
マミの言葉に、あたしと綾香は目を見合わせて笑った。
いい気味。どう……?あたしを笑ったこと後悔してきたでしょう?
でもね、綾香とマミのこんなイジメはまだまだ序の口だから。
「ひっどーい!」
カンナはほんのだけ少し怒ったような表情を浮かべる。
「つーかさぁ、自分が呼び出されたこと分かってんの?」
ずっと黙って見ていた綾香がカンナの前に歩み寄った。
「カンナのこと遊びにさそってくれたんでしょう~?」
「ハァ!?」
思わず口から心の声が漏れた。
「ねっ?そうなんでしょう~?カンナ、みんなと遊びたいよぉ~!」
再び目を輝かせるカンナに心底呆れかえる。
この子の考えていることが1ミリもわからない。
純粋なのか天然なのか、それともそのすべてが偽りで計算高い子なのか。
西園寺カンナという人間がいまいちよくわからない。