イジメ返し2 ~恐怖の復讐劇~
それは本当に一瞬の出来事だった。
カンナは窓ぎわに駆け寄ると、そのまま何の躊躇もなく窓からスマホを投げ落とした。
「そんな……嘘でしょ……?」
地面に叩き付けられたスマホが平気なわけがない。
「わぁ~!落ちた落ちた~!イエーーーーーーーイ!」
キャッキャと飛び跳ねて喜ぶカンナを押しのけて、あたし達3人は窓の外を覗き込んだ。
地面にはスマホと思われるものが壊れて散乱していた。
頭が真っ白になり、心臓だけが不快な音を立てる。
どうしよう。今日帰ったらどうやってお母さんに説明しよう。
もう二度と、スマホなんて買ってもらえないかもしれない。
「マジかよ~!」
マミが顔を歪める。
「信じられない!!アンタ、自分がしたこと分かってんの!?」
カンナの肩を押して責める綾香を呆然と見つめることしかできない。
「最新機種のスマホ弁償しろよ!」
綾香の言葉にハッと我に返る。
そうだ。そもそも悪いのはカンナだ。スマホを壊したのはあたしじゃない。
カンナに弁償してもらえれば、お母さんに怒られずに済む。
「そうよ。ちゃんと弁償してよね。そうすれば許してあげるから」
引きつった表情でそういうあたしにカンナは哀れんだ眼を向けた。
「嫌だよぉ。これって物を上から投げ落とす遊びでしょ~?カンナだってマミちゃんにやられたんだから!」
ちらりとマミに視線を向ける。
「そんな目で見ないでよ」
すると、事の発端を作ったマミは他人事のようにあたしから視線をそらした。
は?なに?自分のスマホが壊れたわけじゃないから関係ないってこと?
一瞬で、怒りが込み上げてくる。
そう。アンタがそう出るなら、あたしだって――。
「――落としたのはマミでしょ?あたしは関係ないもん。化粧品の弁償代ならマミに請求して。その代りあたしのスマホは直してよね」
そう言うと、マミが「ハァ~!?」と非難の声をあげた。