イジメ返し2 ~恐怖の復讐劇~
「まったく、子育てひとつまともにできないのか!!アンタみたいな欠陥だらけの嫁をもらったばかりにうちは滅茶苦茶だ!!」

祖母の怒鳴り声が頭の中で響く。

やめてよ。お母さんを責めないで。お願いだから。

母がうつむいて拳をきつく握り締める。

「家柄だってよくなかったアンタを嫁にとってやったのに、恩をあだで返すっていうのはこのことだね。家事も育児も母親としても女としてもいいところなんて一つもないじゃないか。挙句の果てには娘に手まであげて!」

「えっ?」

弾かれたように母が顔を持ち上げる。

「知らないとでも思ってたのかい!?みやびのこと、かげでつねったりしていただろう!?親は子の鏡だっていうだろう!?アンタがねぇ、そういうことを繰り返していたせいでみやびが学校で人様の子供をイジメたりするんだ。それもアンタの責任だ!」

母は明らかに取り乱していた。口元がワナワと震え、目の奥には真っ暗な闇が広がっている。

呼吸が安定せず苦しそうな母。

「もうやめて、おばあちゃん!」

「うちの子と離婚しなさい!でも、みやびはおいていくんだよ。アンタみたいなのがみやびの子育てなんてまともにできるわけがないんだからね」

母は苦しそうに肩で息をする。過呼吸寸前だ。

「わかったかい!?明日にでも荷物まとめてさっさと出ていけ――」

祖母がそこまで言ったところであたしは弾かれたようjに立ち上がって祖母の口を枕元のタオルで塞いだ。

無我夢中だった。これ以上祖母に好き勝手なことを言わせておけば、母の精神に異常をきたすのは目に見えていた。

「やめて!!お願いだからお母さんのこと、これ以上悪く言わないで!!」

祖母が顔を左右に振って抵抗する。

あたしは目をつぶり、タオルを持つ手に力を込めた。

しばらくすると祖母の抵抗がぴたりと止んだ。

失神したのかもしれない。

「おばあ……ちゃん……?」

ようやく我に返りタオルを祖母の口元から離した時、絶句した。

祖母の顔色は薄紫色になり血の気がなかった。

目は苦しそうに見開かれ、口角からは泡交じりの唾液がしたたり落ちピンク色の舌が飛び出している。

「お、おばあちゃんってば……?ちょっと、冗談きついって。お願いだから、なんか言ってよ!」

祖母の肩を掴んで揺らしても何の反応もない。

嘘でしょ……?そんな……。そんなつもりなかったのに。

あたしがコロシタ……?

「ど、どうしよう。お母さん――!!」

振り返って母に助けを求めると、母はスッとその場から立ち上がって無表情のまま祖母の顔を覗き込んだ。
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