イジメ返し2 ~恐怖の復讐劇~
「で、でも……あたし……おばあちゃんを殺しちゃったんだよ……?」

言葉にすると、急に現実味を帯びた。

あたしは祖母をこの手で殺めてしまったんだ。

母の顔が急に真顔になる。現実を受け止めたんだろうか……?それとも――。


「そんなこと気にすることないわ。そうだわ。お父さんに電話をかけて夕飯は何がいいか聞かなくちゃね。あっ、でも今日はもうハンバーグだって決めていたんだった!今日はお母さん、みやびが寝付くまでちゃんと絵本の読み聞かせしてあげるから。お母さん最近疲れてすぐ寝ちゃうけど、今日は頑張っちゃうわ」

「お、お母さん……?」

高校生になったあたしに絵本の読み聞かせ?支離滅裂な母にたじろぐ。

恐ろしいほどに明るくふるまう母はすでにまともな精神状態でないのは目に見えていた。

祖母が死に、わずかに保たれていた糸がぷつりと切れてしまったに違いない。


「お父さん、今日は早く帰ってくるといいわね。あらあら、みやびってばそんなところにいないでこっちにおいで?」

母は手招きする。ゆっくりと母の元へ歩み寄ると母はあたしを抱きしめた。

その腕は枝のように細く、シワシワだ。お風呂にも入っていなかったのかもしれない。

母の体からは生ごみを腐らせたような強烈な悪臭がする。

「マミ、愛してるわ」

遠い昔、母はいつだってあたしを今のように抱きしめてくれた。

たくさんの愛であたしのことを包み込んでくれていた。

だから、今度はあたしがお母さんに愛を返す番。

「みやびもね、お母さんのこと愛してるから」

――だから、もう苦しむのはやめようか。

あたしは母の細い首を両手で掴みぎゅっと力を込めた。
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