イジメ返し2 ~恐怖の復讐劇~
目を開けると見知らぬ空間が広がっていた。

あたし……音楽室のベランダからから落とされてそれで……。じゃあ、ここは病院?

「いっ」

わずかに動くだけで全身に激しい痛みを感じる。

「――お母さん……?」

ベッドサイドの椅子に座り舟をこいでいた母に声をかけると、母は飛び起きるなりあたしを睨み付けた。

「……綾香、あなたよくもお父さんの顔に泥を塗ってくれたわね!!」

何故か目を血走らせて怒り狂う母。

「な、何怒ってるのよ!!娘がこんな姿になって普通は心配するのが先でしょ!?」

しかも、担任にベランダから落とされたのだ。

「なにが心配よ!!自業自得でしょう!?音楽室のピアノを勝手にいじった挙句、それを諭されてベランダから飛び降りるなんて!!」

絶叫する母の言葉の意味が分からない。は?何言ってんのよ。あたしは――ー。

「綾香がグランドピアノの調整を勝手にした挙句、指を挟んだんだって?それを助けようとした先生や西園寺さんやお友達に悪態をついて、そのうえ逃げようとして飛び降りるなんて!!」

血相を変えて怒り狂う母の言葉の意味もその話もすべてが意味不明で頭の中にクエッションマークが浮かぶ。

「ちょっと、待って!!あたしじゃない!!ピアノをしめてあたしの指をこんなにしたのも、ベランダから足を持ち上げて落としたのも全部若菜ちゃんだから!!それを黙って見てたのは逢沢優亜と西園寺カンナ!だから、アイツらを――」

「バカ!!」

母はベッドで横になるあたしの頬をはたいた。

「学校にあるグランドピアノは西園寺さんのおじいさんから寄付されたものなんだよ!!そんな大切なものに、アンタは指を挟んだだけじゃなく血までつけて汚して!!お父さんがSGグループに契約を切られそうで大変だって知っていたのに!!それなのに!!」

「ちょっと待ってよ!!」

一方的に話し続ける母を制止する。
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